クズ



目 : マメ目 Fabales
科 : マメ科 Fabaceae
属 : クズ属 Pueraria
種 : クズ P. lobata
学名:Pueraria lobata (Willd.) Ohwi
和名:クズ(葛)
英名:kudzu

マメ科のつる性の多年草。
根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。秋の七草の一つ。名前は葛の文字を当てる。(「葛」で表記する場合もある)

特徴:葉は3出複葉、小葉は草質で幅広く、とても大きい。つるは年がたつと太くなり、やや木質化する。地面を這うつるは、節から根を出し、あちこちに根付く。根は非常に深く、太って長芋状となる。花は8〜9月の秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、赤紫の豆の花を咲かせる。花は甘い芳香を発する。果実は枝豆に似て、やや小型。

和名は、かつて大和国(現:奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。

分布と生育環境:北海道〜九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布している。

荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。かつての農村では、田畑周辺の薮に育つクズのつるを作業に用いた。そのため、クズは定期的に切り取られ、それほど繁茂しなかった。しかし、刈り取りを行わない場合、クズの生長はすさまじいものがあり、ちょっとした低木林ならば、その上を覆い尽くす。木から新しい枝が上に伸びると、それに巻き付いてねじ曲げてしまうこともある。そのため、人工林に於いては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。

なお、この派手な成長ぶりを買われ、中国奥地の緑化のために種子が運ばれたことがある。北アメリカにも1876年にフィラデルフィアの独立百年祭博覧会の際に日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのがきっかけとして、東屋やポーチの飾り、さらには緑化・土壌流失防止用として推奨され一時は持てはやされたが、原産地の中国や日本以上に北アメリカの南部は生育に適していたため、あるいは天敵の欠如から想像以上の繁茂・拡散をとげ、有害植物及びに侵略的外来種として指定されたが、駆除ははかどっていない。なお、葛の英語名は日本語から「クズ[kudzu]」である。近年ではアメリカ南部の象徴的存在にまでなっている。

駆除は、根茎により増殖するため根絶やしにすることが困難である。抜本的に除去する方法として、除草剤のイマザピルを使う手法がある。除草剤は、薬剤を染みこませた楊枝状の製品であり、根株に打ち込むことにより効果を発揮する。

近似種:沖縄には同属のタイワンクズ(P. montana (Lour.) Merr.)がある。全体にクズに似るが葉の形や花の姿などに若干の差がある。なお、沖縄ではほぼ同様な姿でナタマメ属(Canavalia)のタカナタマメ(C. cathartica Thouars)も路傍によく出現する。

食品:食品の葛粉(くずこ)はクズの根を晒して作る。葛切りや葛餅などの原料となる。貝原益軒の菜譜や大蔵永常の製葛録に記されている通り、もともとは救荒食糧としてして認知されていた。葛粉は良質の澱粉であり、効率よく栄養を摂取するには最適の食材である。 室町時代、とある山中で、猪が葛根をしきりに掘り出そうとしているのを見た人が「食べ物ではないか」と思いついたのが、食糧として認知された始まりであるという伝説がある。

葛粉は、葛根を潰して澱粉を取り出し、水にさらす作業を何度も繰り返して不純物を取り除く。最後に塊を自然乾燥させて完成となる。したがって、良質の葛粉を作るためには、水は清く冷たくなければならず、空気は乾燥していなければならない。良質の水と冬の寒さが厳しい吉野は、既述の条件を満たしているといえる。

葛粉を湯で溶かしたものを葛湯(くずゆ)、熱を加えて溶かしたものは固まると半透明もしくは透明になることから和菓子等の材料として古くから用いられている。

各種食料品店で入手できる葛粉と呼ばれる食品の多くは馬鈴薯澱粉が混ざっており、混じり気のない葛粉100%のものを本葛(ほんくず)と呼び区別する。

漢方薬:クズの根を干したものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ。日本薬局方に収録されている生薬である。発汗作用・鎮痛作用があるとされ、漢方方剤の葛根湯、参蘇飲(じんそいん)などの原料になる。これを題材にした落語に『葛根湯医者』がある。

(ウィキペディアより)

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