ミズバショウ



綱 : 単子葉植物綱 Liliopsida
亜綱 : オモダカ亜綱 Alismatidae
目 : オモダカ目 Alismatales
科 : サトイモ科 Araceae
属 : ミズバショウ属 Lysichiton
種 : ミズバショウ L. camtschatcense
学名:Lysichiton camtschatcense Schott
和名:ミズバショウ
英名:Asian skunk cabbage

ミズバショウ(水芭蕉 Lysichiton camtschatcense)は,サトイモ科の多年草本。

特徴
湿地に自生し発芽直後の葉間中央から純白の仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞を開く。これが花に見えるが仏炎苞は葉の変形したものである。仏炎苞の中央にある円柱状の部分が小さな花が多数集まった花序(かじょ)である。開花時期は低地では4月から5月、高地では融雪後の5月-7月にかけて。

葉は花の後に出る。根出状に出て立ち上がり、長さ80cm、幅30cmに達する。

利害
葉などの汁にはシュウ酸カルシウムが含まれ、肌に付くとかゆみや水ぶくれを起こすことがある。

根茎はかつて腎臓病や便秘などの民間薬として利用されたこともあるが、薬効についての根拠はなく、逆にアルカロイドが含まれているため、服用すると吐き気や脈拍の低下、ひどい時には呼吸困難や心臓麻痺を引き起こす危険があるので利用は禁物である。ツキノワグマはミズバショウの葉や花を食用とする場合があるが、これは冬眠後などに体内の老廃物等を排出するための嘔吐剤・下剤として食べるためであり、人間は絶対に真似してはならない。

繁殖様式
雨竜沼湿原1つの肉質の花序(肉穂花序)には数十から数百の小花があり、それらすべてが雄蕊(ゆうずい)と雌蕊(しずい)を持つ両性花である。仏炎苞が開いた時点で、多くの小花は雌蕊が露出しており受粉可能である。雄蕊は花序の表面には現れていない。開花の後数日すると、花序の表面を押し上げるようにして雄蕊が出現し、多くの花粉を放出する。この際、自花受粉することがある。その後は雄蕊からの花粉の放出が続く。このように、最初は雌蕊だけが機能し、やがて雄蕊が機能を始めるという開花システムを「雌性先熟」と呼び、イネ科などの風媒花によく見られる。

受粉後、花序は大きく成長し、緑色の肉質の果穂(かすい)になる。種子が完熟した果穂は、ぼろぼろと崩れ、果肉をつけたままで種子が散布される。果肉は軽くスポンジ状であり、種子が水に流される(水散布)のを助ける。種子自体も軽く、水に浮く。種子は褐色で大きさ約5mmの半球型をしている。種子はしばしば野ネズミによって食害される。実生は条件の良い場所に定着すると3年程度で開花するまでに成長する。

種子には休眠性はなく、湿らせた状態で温度条件が良ければ簡単に発芽する。いっぽう乾燥に弱く、乾いた状態で貯蔵すると短期間のうちに死亡する。発芽率は高い。

また、大きく成長した個体の塊茎から、細長く短い地下茎が生じ、栄養繁殖することがある。栄養繁殖による子は親個体のすぐそばに見られるため、しばしば数個体がまとまって株立ちする。

地方名
ベコノシタ(北海道・葉が牛の舌に似る)
ヘビノマクラ(北海道・花序を蛇の枕に見立てる)
パラキナ(北海道・アイヌ語で幅の広い葉)
ウシノクチヤ(石川県白山・ザゼンソウも同じ異名で呼ぶこともある)

(ウィキペディアより)

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