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おわりに

 現役中はいろいろご厚情を頂き,ありがとうございました.
 去る6月,定年退職後に行った,放射能の定量測定法としてのラジオルミノグラフィーの体系化,液体シンチレーション計数法に代るマイクロプレートラジオルミノグラフィーとその Radio HPLC オフライン計数への応用及び極低レベル C-14標識薬物投与実験を紹介するためにホームページ「トレーサー法による薬物動態研究塾」を開設しました.予想以上に多くのアクセスを頂き,大変勇気づけられました.
 この度.基礎講座と研究例を追加しました.
 基礎講座では,薬物動態研究においてトレーサー法を駆使するために必要にして充分な基礎的事項を取り上げ,予想される疑問点を Q and A の形で解説しました.本章が,同位体を初めて扱う研究者のための有益な手引きになることを期待しております.
 研究例では,1例を除きすべてヒトについて得られた研究結果を紹介しました.安定同位体標識体-GC-MS(最近ではLC-MS)トレーサー法はヒトにおける精確な薬物動態の解明を可能にしております.また,C-13標識体-NMRトレーサー法によれば非分離で半定量的に代謝物を検索でき,将来,非侵襲的に体外から薬物の動きを追跡することも夢ではありません.本章から,ヒトにおける薬物動態の研究において安定同位体トレーサー法が幅広い応用性を持っていることを読み取って頂くよう願っております.
 創薬において,ADMEに関する研究が実験動物レベルで終わっていることが薬物動態研究者の立場を著しく脆弱にしております.薬物動態研究を健常人,更には患者にまで発展させ,薬物動態研究の意義を広く認識してもらうことが肝要と考えます.
 2003年12月15日

 最近,ますます多くのアクセスを頂き,勇気づけられております.
 この度,旧ページを若干手直し,定量全身オートラジオグラフィー(WBA)を追加しました.
 わが国において,WBAは35年以上の歴史を持つ技術でありながら放射能定量の観点からは隔靴掻痒の感がありました.それは,WBA切片各臓器の厚み(mg/cm2)を求める方法がなく,自己吸収を補正できなかったことによります.この度, Pm-147β線によるラジオグラフィーによってWBA切片各臓器の厚みを測定する方法を開発しました.次に,自己吸収を補正してWBA切片各臓器の放射能をBq単位で精確に求めることができました.今後,各自の手法で作成したcold WBA切片各臓器のmg/cm2/mm値をあらかじめ求めておき,これによって自己吸収を補正するようにすれば,全ての研究室が各臓器の放射能をBq単位で表示できます.
 ここに,WBAも放射能定量法の一員として認知されることを願っております.
 2004年12月15日追記

 ますます多くのアクセスを頂き,感謝しております.
 わがホームページも屋上屋を重ねたような形になり,フォームの不統一も目に余るようになりました.このたび,章立てをし直しました.また,ラジオルミノグラフィーによる放射能の定量測定,及びマイクロプレートラジオルミノグラフィーとその Radio HPLC への応用の章をより詳細に解説しました.
 定年退職して10年が経ちましたが,本ホームページを通して現役の研究者に話しかけられるのは大変ありがたいことです.
 2005年6月15日追記

 RLGを放射線計数装置として再評価しました.
  RLGの高感度性はしばしば指摘されておりますが,RLGは放射線計数装置としてではなく画像解析法としてとらえられているようであります.相変わらず,液シンの高い測定コストが研究費を圧迫し,液シン廃液や測定済みバイアルが放射線管理者を悩ませております.この度,どうしてRLGが放射線計数装置として優れているかを分かりやすく解説しました.
  章の終わりに要約したように,RLGは検出特性,経済性,環境への負荷など,すべての点において優れております.RLGは万能とは言いませんが,可能なところからRLGに切り代え,1桁低コストで1桁高精度のデータを出されることを願っております.
  2006年6月5日追記

 老化防止のためにホームページを開いてから4年が経過しました.この間,多くのアクセスを頂戴し,大変元気づけられました.この度,現役中から気掛かりになっていた2つの課題について小生なりに納得のいく解を出したので追加することにしました.ご参考になれば幸いです.
  2007年7月30日追記

 公表以来,“薬物動態研究”で検索すると googleでもyahooでも,このホームページが常にトップページに登場してくることに大変勇気づけられております.
 最近,わが国でも微量の14C標識薬物を使ってヒトでの薬物動態を調べようという気運が高まってきたことはご同慶の至りです.この研究課題の解決に一式20億円もする加速器質量分析計が提案されていますが,私は逆同時計数回路を施した液体シンチレーションカウンタを提案しています.装置価格も測定単価も約百分の1で加速器質量分析計に遜色のない精度が得られます.液体シンチレーションカウンタは50年前,アメリカに留学した時に初めて使った装置で,こんな形で再評価されるとは全く意外です.
  2010年8月31日追記


 
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